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ボニンブルー(出張編)

 船の上から見た父島は、独特の青い海の上に、崖がせり立ってできたような荒々しい島に見えました。実際、複雑に入り組んだ海岸線をもった島は、木々に覆われた急坂を越えると、プライベートビーチのような白砂の入江にたどり着き、隣の崖を越えていくと、また次のビーチが現れるという、飴と鞭を繰り返すような地形になっていました。
 朝一のバスに乗り、東京都最南端のバス停を冠した終点で降り、トレイルに足を踏み入れます。冬の間、なまけさせてしまった重い体をなんとか押し上げつつ森を抜け、“峠”と名のついた(でも北海道で連想するそれとは印象の全く違う)場所に出ると、翡翠や紺碧、瑠璃や藍、浅葱や露草など、青を表すあらゆる名が当てはまりそうな、複雑な色彩をもった海が見え、そのたびに足が止まってしまいます。もともと、植物やら動物に目を奪われては頻繁に足が止まるので、同行者にあきれられることが多いのですが、このトレイルは気ままな一人歩きでしたから、誰に迷惑をかける心配もなく、気の済むまで景色を眺めることができました。それを見越したように、ちょうどよいベンチも置いてあるのです。
 『ボニンブルー』が小笠原の海の青を表す言葉としてよく使われますが、果たしてどの青がボニンブルーなんだろう?と、島に着いた時からずっと思っていました。滞在中は台風並みの低気圧で海は大いに荒れ、水もいつもよりずいぶんと濁っていると、前日にガイドさんから聞きましたが、それでも、荒立つ波間に見え隠れする青すらも決して一色には収まらず、いくつもの青を重ねて魅せてくれるのでした。
 峠から下って着いた海岸には、誰の影も見えず、正にプライベートビーチ状態です。打ち寄せる波を押し戻さんばかりの強風は、しぶきも砂も巻きあげて容赦なく打ち付けてくるのですが、そこには南からの空気も混じっているからなのか、冷たさは全く感じられません。ただただ、美しい青が近づいたり遠ざかったりするリズムを心地よく眺めているだけで、あっという間に1時間が過ぎるのでした。
 さて、現地のガイドさんに、ボニンブルーには典型的な青があるのかを聞いてみたところ、人によって解釈は違っていると教えてくれました。それぞれ思い入れのあるボニンブルーがあるようです。私のボニンブルーはどの青だろう・・・一度来るだけじゃあ、その答えは見つからないかも・・・。またここを訪れる口実が、次々に浮かんできてしまいます。
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出張編
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