火口のツバメ

 自然の中に身をおくと、謙虚な気持ちになります。
 何十億年とかけて創り上げられた地球は、美しいだけではない、厳しい一面ももっているからでしょう。
 火山地帯では、赤茶けた礫に覆われた大地のくぼみから、シューシューと音を立てて噴煙が上がり、今も地球の内部が活発に動き続けているのを垣間見ることができます。硫黄の匂いが遠くまで漂い、植物も見当たらないこの場所は、誰もが、足を踏み入れたらきっと助からないだろうという危機感をもつはずです。
 でも、こんな場所でツバメが飛び交っているのを見つけました。それもかなりの数が、火口の深いところまで飛んでいきます。勿論、ツバメ以外の動物は近くには見当たらず、きっと、猛禽類やカラスなども近づけないのでしょう。ツバメたちは、有毒なガスや高熱というリスクをとっても、卵や雛を狙う天敵のいない生息地を選んだのでしょうか。
 自然の奥深さをひとつ知るたびに、驕った気持ちが不思議と消えていくのです。
2013年6月10日
        
        
        
        - カテゴリ
 - 今週のヒューエンス
 - 更新日
 - 閲覧数
 - 711
 

