思い込み

 汽水湖の対岸に浮かんでいたカモメの群れが一斉に飛び上がりました。オオワシの襲撃です。遠浅のように色が変わって見える場所は、まだとけきっていない氷の島で、その上にぽつりぽつりとある黒い影がオオワシです。3月末、根室半島の付け根の辺りで偶然出会ったオオワシに、まだ北へ帰っていなかったのかと驚いたばかりでしたが、なんのなんの、まだ十勝にも多く残っていました。
 ここへ来る途中、広大な畑の間を縫うように走っている時、何度か鳥の編隊が北へ飛んでいくのを見かけました。てっきり、マガンやヒシクイなどカモの仲間だと思っていましたが、帰って写真を確認すると、カモメだったことが分かり、カモメも編隊を組むのか、と驚きでした。
 自然の世界を見ていると、自分の頭の中がいかに思い込みだらけかを知ります。オオワシが渡りの途中で集まる鳥たちを狙って晩春まで北海道に留まり、渡りもするカモメたちが飛行のエネルギーを省力化するために編隊を組むことは、よく考えれば何の不思議もないことだからです。積み重なった知識で身動きがとりづらくなっている頭をあっさりと開放し、そして新たな視線を与えてくれるのが、やはり自然という存在なのだと、改めて感じました。
 
2019年04月08日
        
        
        
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