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旅鳥たち

 
初夏のしっとりとした霧雨は、緑を潤す気持ちの良い雨ですが、この季節の同じ雨には、肌の奥へとじわじわと染み込むような冷たさがあります。外気温は正午でも2度。もういつ雪になってもおかしくない寒さの境界線を、行きつ戻りつしているかのようです。
 光の弱い空は、不思議と鳥たちの影を際立たせてくれます。この時期に見られる渡り鳥たちの多くは、この辺りで越冬することを決めた個体なのでしょうか。10月ごろに見られるような大きな編隊が空を横切ることはほとんどなくなり、2羽でどこかへ向かう姿が大半になりました。きっと夫婦なのでしょう。時折、3羽で飛んでいる様子を見ると、親離れ間近の子どもを連れた夫婦なのかな、と思います。スズメやカラスなど、いつも身近にいる鳥たちは、決まった相手とだけで過ごしている姿をほとんど見かけないことを考えると、海や山を越えて何千キロも渡っていく旅鳥たちにとって、いつも行動を共にする夫婦や家族、仲間という単位が、とても重要なのだろうと想像することができます。
 そんな彼らの落とす影は、ますますまぶしく目に入ります。十勝の寒さは決して楽なものではありませんが、そんな中でも、厳しい冬を越す場所として、ここを選んでくれている旅鳥たちがいることに、なんだかちょっと嬉しくも感じるのです。
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今週のヒューエンス
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