譲らない!
太陽が顔を出すと、氷点下あたりまで冷えた空気が、じんわりと温まり始めます。「今日はリスもいないな~」と着いた直後は思っていましたが、寒いと寝床からなかなか出られないのは、彼らも一緒なのかもしれません。モミジや銀杏の写真を撮っている間に日差しが感じられるようになると、どこからともなく、カリカリカリ、カツカツカツと、小さな音が聞こえ始めました。
かさっ、かさっ、かさっと、落ち葉の上を跳ねて松の実を見つけると、かさっ、かさっ、かさっと、立派な五葉松の根元へ戻ります。カリカリカリッと中身を出してお腹に収めると、また同じように、少し飛び跳ねて、木の実を見つけてくわえ、跳ねて木の根元へ戻って食べます。落ち着く所はいつも同じようです。
小柄な、濃いグレーのリスが近づいてきました。最初にこの場所を確保していたリスは、チチチチッ!と短く警戒の声を上げ、近づき過ぎた相手を追い払いました。
手首の茶色が濃い、ややふっくらしたリスが、木の上から近づいてきました。今度は、逆に追いかけられて、木の高いところまで遠ざけられてしまいました。
そして、その少し大きなリスが、そこで松の実をかじり始めました。あ~、朝一番乗りで陣取った場所が、奪われてしまいました。
そこは、暖かくて心地よい場所なのでしょうか?それとも、木の実が豊富な場所なのでしょうか?ここは誰にも渡さない!とばかりに警戒しながらも、冬に備えて食べ続けなければならず、手はいっぱいいっぱいなのでしょう。人間が近づいても逃げる気配も見せません。個体識別ができそうなくらい長いこと、そんな様子を眺めていたら、足が痺れてきました。いい加減帰ろうと腰を上げたところ、周りに、立派な望遠レンズを持ったカメラマンたちが何人も並んでいたことに気づいて、びっくり!知らない間に、自分も陣取り合戦の前線にいたようです。
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