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前提

 春と秋の景色が似ているように、北海道には熱帯の乾燥地帯とも似た景色があるように感じます。夕刻、めきめきと落ちるのが早くなった太陽が、広い十勝平野の奥にかかった雲に隠れる頃、オレンジ色に木々の影が黒々と浮かびあがる景色もまた、いつか映像で見た、サバンナに広がるそれと似ていそうだと想像してしまいます。
 1年の季節がぐるり360度でひとめぐりするとすると、春と秋は180度離れた位置に配置されるでしょう。地球では、北極から赤道直下を通り南極へ到達するまで気候がひと巡りとすると、北海道とサバンナもやはり180度近く離れていると言えるかもしれません。遠くのもの同士はお互いに異なっていることを前提にしているので、似ているところを見つけると嬉しくなりますが、反対に、近くのもの同士はどうでしょう。似ていることを前提として、お互いに異なるところを見つけたがるような気がします。お互いの距離の違いで、無意識に全く反対のことに価値を感じているかもしれません。
 さて、先週は海外からのお客様が視察に来られ、それぞれの国の事情を聞き、どんなことを課題としているかを聞く中でも、少し似たようなことを感じていました。それぞれの国と似ているところを共有して親近感を感じる一方で、仕事としては、他社とは異なり自分たちにしかないところをアピールします。仕事というのは価値が売れなければ成り立たないものですし、固定観念や既成概念によって価値が変わるということは、当たり前すぎることなのかもしれませんが、違っている前提、似ている前提で物事をとらえることで、見落としてしまう価値もあるかもしれないということは、時々思い出さないといけないことかもしれないとも思うのです。


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