人は忘れる生き物だ、と言います。辛い記憶を忘れることは、生きていくための防衛本能として必要なことだと考えられています。 　師走に入り、１年の労を賑やかに忘れようと、忘年会に向かっていた矢先の大きな余震に、３月11日の辛い記憶がよみがえったという方も多いのではないでしょうか。大震災以来の津波警報が発令され、怪我をされた方もいらっしゃったとのこと、いつ牙を剥くとも分からない自然の脅威に、改めて恐ろしさを感じました。 　前向きに生きていくために、確かに忘れるという力は必要なのだと思います。でも、忘れてはいけない記憶があることも確かです。それは、また同じ悲しみを繰り返さないため、同じ失敗を繰り返さないため。自分のためだけではなく、周りの大切な人のため、未来を担う子供たちのため。 　記憶を共有できることも人間の素晴らしい力のひとつです。忘れてしまわなければ生きていけないほどの辛い体験をされた方のために、周りにいる私達は決して忘れないようにしなくてはいけない、改めて心に刻みました。

2012年12月10日

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