新しいことに挑戦しようとすれば、そこには必ず失敗の影がつきまといます。目指す先が遠く、進むべき道がはっきりとは見えないことも沢山あります。見知らぬ場所で道に迷ってしまったとき、歩いてきた道を戻ることが軌道修正の最善の方法だと頭では分かっていても、どうしてか人は後戻りすることよりも、先へ進むことを選んでしまいがちです。未知の世界への好奇心が強いゆえか、間違ったことを認めたくない潜在意識のためか、せっかくここまで進んできたのだからというもったいない精神からか、もしくはどれもが同時に作用している、ということもあるかもしれません。
手に入れた物を手放すことが難しい以上に、積み上げた経験を否定することは難しいものです。それは自分自身の一部だからです。でも、目標へ向かって、道を違えることなく真っ直ぐ突き進める人などいるでしょうか。どんな人でも、進んでは戻らざるを得なくなり、また進んでは立ち止まって自分の位置を確認する、そんな足跡を地面にひとつひとつ落としながら、その隙間におぼろげながら進むべき道筋が浮き上がってくるのではないかと思います。行くべき先を見定めるには、間違ったときは間違ったことに気付くことが最初の一歩です。そして、少し戻る勇気も必要です。その繰り返しの跡は、きっと、植物の根のように横へ下へと張り巡らされ、いずれ、その方々から必要な栄養をもたらしてくれるようになる気がします。
寒さが緩んだ日には、シジュウカラのさえずりが風に混じるようになりました。何か新しいことを始めてみようか、そんな意欲がむくむく動き出す季節が近づいてきました。
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