色の変化
9月の初めに書いたエゾオヤマノリンドウは、あっという間に秋色に変わっていました。ひとつだけぽつりと青い花をつけたものがありましたが、それ以外はみんな花が終わり、葉が緑から赤の美しいグラデーションに染まっています。これが少しずつ根元の方へも広がっていって、やがて全体に赤が広がっていくのも数日のことでしょう。
以前は、若葉の色、花の色、紅葉の色と、それぞれ象徴的な色にばかり目を向けていたような気がしますが、最近は変化の過程も面白いと感じられるようになりました。緑色のクロロフィルが低温と乾燥で分解し、緑色に隠れていたカロテノイドの黄色が見えるようになり、落葉の準備のためにアントシアニンが作られて赤くなっていくという、科学的な紅葉の仕組みを垣間見ることができるからなどと書いてしまうと、情緒も何もないように感じられるかもしれませんが、道端のどんな植物もそれぞれ巧妙な仕組みをもっていて、それが美しい色彩をもって現れてくるのですから、美しさの秘密を探ることはイコール科学なのでは、と思えてくるのです。
明日の秋分を過ぎれば、夜はどんどんと長くなり、そして寒さも増してくるでしょう。不安定な空の機嫌もあり、心をざわつかせる日も多くなりそうですが、そんな時でも、足元に目を向けて、美しさの秘密を見つけていきたいと思います。
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