育耳
本州は夏日を記録する地点が増えていますが、こちらは初夏の三寒四温を体感しています。半袖が心地よい暖かい日と、防寒着が手放せないような肌寒い日とが交互にやってくると、自律神経はどちらに照準を当ててよいものやら、混乱してしまいます。ほどよく穏やかな日が続くというのは、なかなかないものです。
そんなどっちつかずの季節の、ちょうど肌寒い週末の朝、誘っていただいた鳥の観察会に参加してきました。地元のコーヒー屋さんと温泉という魅惑的なコラボで企画された会では、朝、ミヤマエンレイソウの咲く素敵な林に囲まれた温泉施設の前に、参加者の皆さんが集まり、コーヒーと米粉のレモンケーキで会が開けました。
美味しいコーヒーをゆっくり味わいながら、聞こえてくるさえずりが何の鳥のものなのか解説してもらいます。参加者の皆さんの中でも、聞こえてくる声が違っていて、説明されてもなかなかその声が自分には聞こえてこなかったり、何種もの声が重なってくると途端に聞き分けが難しくなったり・・・。でも、そこは、学校の試験でもなければ会社のコンペでもないので、それぞれが自分のペースで楽しむことができます。
学生時代に覚えたことや、独学で覚えたことなどなど、あやふやだった記憶を確かなものにして、そこへ新しい知識を少しずつ加えて耳を育てていくのは、なかなか楽しいものです。参加者の方がおっしゃっていました「鳥耳のスイッチが入ると、世界が一気に広がるのよね~!」と。確かに!アオジの声を追って姿を探していたら、河畔林は随分と遠くまで続いているのだと気付きますし、足元から聞こえてくる声が虫ではなくヤブサメだと教えられたら、なかなか見つからないと聞いてもついつい薄暗い藪の中を覗いてみたくなります。視覚からの情報ばかりに頼っていた世界に、より立体感や奥行きを与えてくれるのが耳育なんだな~と実感し、先輩たちの素敵な言葉に大納得でした。
