ニュアンスカラーの目
朝晩の冷え込みが進むと、野にはニュアンスカラーの季節がやってきます。気温が下がって緑色のクロロフィルが分解され、黄色いカロテノイドが目立つようになる”黄葉”と、アントシアニン生成が加わって赤色が目立つ”紅葉”が、山の方から始まってきているのです。時間的にも空間的にもゆるゆると進んでいく変化の境目に、このニュアンスカラーが生まれます。輪生する葉の上の方から、また葉の先の方から、黄色や赤が見え始め、まだ残された緑色と重なったところは紫にも見えます。
そんな絶妙に表現の難しい色を見つけるたびに、こんな色にも名前が付けられているのだろうかと気になってしまいます。早速、和色大辞典を開き、葡萄(えび)、紅紫(べにむらさき)、緑青色(ろくしょういろ)、黄支子色(きくちなしいろ)などが組み合わされている感じかな、などと考えた後、洋色だと何色になるのか気になり、今度は洋色辞典を見てみました。ラズベリー、シトラス、パロットグリーンが近い色のようには見えるけれど、なんだかしっくりくるようなこないような・・・。
和と洋の色辞典を比較してみれば一目瞭然でもありますが、日本人と、海外の文化を基礎にもつ人とでは、異なる色彩の中に暮らしているのかもしれません。例えば、”葡萄(えび)”などは、名前からしても、洋色の”グレープ”と対になりそうではありますが、前者は赤みを含んだ紫で、後者は赤と青の中間の紫で、その色彩はずいぶんと異なっていることが分かります。「ぶどうの紫」と言った時に思い浮かぶ色が異なるとしたら、目の前の「紫」を一緒に見ていても、その色から連想する物も異なるかもしれません。日本の紅葉は、海外の人たちにはどんな色に見えているのでしょう。ニュアンスカラーの溢れる季節に、いつか確かめてみたいなと思ってしまいます。
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