ぼうず畑
仕事で釧路方面へ向かう機会がありました。その朝はあいにくの霧雨で、車で片道3時間の道のりを考えると少し気の重い出発でした。帯広から釧路までの間は、札幌や旭川との間のように越えるべき峠はないため、比較的平坦ではありますが、浦幌から白糠の間、つまり十勝地方と釧路地方の境目は、山間を縫うような道が数キロ続き、これを抜けると釧路だという、何やら心構えのようなものが出てきます。
峠では越えた先で天気がころりと変わっていることも多いのですが、この山道は抜けてもなお、細かい雨が降り続いたままでした。数年前に開通した高速道路のおかげか、こちらの国道の交通量は少なく、安全運転に集中できていましたが、今度は、時々現れる道路脇の谷内坊主が目に入り、気になって仕方がありません。形のいい坊主頭が沢山あるではないですか!
すっかり林床の雪がとけ、谷内坊主が並んでいる景色はさながら畑のようで、なんだか大きなスイカを持ち上げるようにしたら、沢山収穫できそうです。あぁ~カメラを持ってくればよかったという後悔と、でもスマホがあるという誘惑と、今はそんなことで時間を取ってはいけないという自戒とが、頭の中で三つ巴です。雨天で目的地までの時間が想定よりもかかるかもしれないという懸念がなければ、車を止めていたかもしれません。
さて、青空ののぞいた週末、ゆっくりと谷内坊主を眺めにやってきました。数日の間に、緑の新芽を伸ばしている頭が増えていました。あの雨は、緑を育む穀雨になったようです。アズマイチゲが寄り添うように咲いている谷内坊主もあり、春の陽気をのんびり味わう相棒同士のようにも見え、そんな景色も良いものでした。
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