アップデート
この夏は自然災害のニュースが絶えません。猛暑に大雨、野生生物の被害・・・。日本のいたるところで起きている災害の爪痕を見るたびに悲しい気持ちになり、そして北海道に暮らす一員として、ヒグマによる事故が立て続けに起きてしまったことに、複雑な心境になりました。
北海道に暮らしていたらどれほどヒグマに出会う危険性があるのかと問われると、社内でたずねてみても、実際に遭遇した経験があるメンバーはほとんどいません。頻繁に山に行っていた私でも、ヒグマを実際に目撃したのは片手で数えられるほどしかなく、そのうちの半分は何百メートルも遠くに、黒い点として動いているのをたまたま見つけただけで、気づかずに過ごしていたとしてもおかしくなかった程度のものです。一方で、非常に恐怖を感じたのは、つい数分前までそこにいたのではないかという気配(臭い)があちこちにあるのに、一向に姿が見えなかったという経験でした。聴覚や嗅覚に優れた彼らの方が、先に人間の存在に気付いて避けてくれていたということの証でもありますが、臭いを感じても相手がどのくらい離れた場所にいるのかまでは分からず、視覚的な情報も得られない状況でできることと言えば、大きな声を出しながらこちらの存在を知らせつつ、いつも以上に慎重に歩くことぐらいでした。
そこは景色も花々も非常に美しい山でしたが、私たちが魅力的な自然だと感じる場所と、生き物たちが暮らしやすい場所とは、ほぼ重なっているとも言えるのでしょう。それはそっくりそのまま北海道の魅力でもあります。仕事の中でもミスや事故につながるのは、知識が不十分なときや、慣れが危機感を薄れさせてしまっているとき、変化が起きているときなどが考えられますが、気候の変動によって、生き物たちの行動や生息域に変化が起きている今、これまでの経験からだけでは測れないことが、もっと頻繁に起こるのかもしれません。自然と向き合うための知識は、私たち自身も真剣にアップデートしていかなくてはいけないのだと痛感します。