美しいものには
赤く色づく紅葉と言えばモミジを真っ先に思い浮かべることが多いのではないかと思いますが、実際に野山を歩いていると、他にも美しい赤が沢山見つかります。アプリコットのように少しずつ赤くなっていくエゾヤマザクラの葉や、実に負けじと色づくナナカマドの赤も、趣があって美しいものです。針葉樹と広葉樹の混ざった森を歩くと、ところどころにスポットライトが当たったかのように、色づいた葉を豊かに抱えた華奢な木が佇んでいていることがあります。樹種の名前は気まぐれに覚えたり忘れたりをくりかえしているので、しばらくの間それが何の木か分からずにいましたが、先日の自然観察会の講師の先生に「この辺りできれいに赤くなっている木は大抵ヤマウルシですから、気をつけてください」と教えられ、ずっと気に入って写真に収めていた木がまさしくそれだったことを知りました。
謎が解けたのは良いとして、いつもきれいな葉を見つけたら手に取って、匂いをかいだり光に透かしてみたりしていた中で、これまでよくかぶれずに来たものだと、密かに肝を冷やしました。
それにしても、ヤマウルシの紅葉は美しい!羽状に葉が並び、薄くなった緑が葉脈を中心に橙色から赤に変わろうとグラデーションになっています。葉が重なるところはまた違った色合いで、全体が赤く染まってしまう少し手前の微妙な濃淡が、暖かかったり寒かったりとうつろう秋の空気を表しているかのようです。ウルシの仲間には、木につるを這わせたり足元に伸び広がるツタウルシなどもあり、これもまた鮮やかな紅葉を見せてくれます。手にしたらかぶれるとわかっていても、つい、手を伸ばしたくなってしまいます。ですが、美しいものにはウルシオールがあるかもしれませんので、みなさまもどうぞお気をつけて!
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