氷の世界へ
立春はもう目の前ですが、十勝はまだまだ寒さのピークの中にいます。さらりと雪が降った翌朝、おそらくこの日が、この冬一番の霧氷の美しさを見せた日だったのではないかと思います。
十勝川沿いの木々は、どこから見ても真っ白です。でも、これは雪が積もった白ではなく、水蒸気が枝について凍った霧氷の白です。なので、木の下に立って見上げても、細い枝先まできらきらと白く輝いて見えます。不思議なものですが、シラカバの木肌はこのために白くなったのだと言われたら、納得してしまいそうな気もします。
この霧氷に街が覆われる朝は、北海道で体験してほしい景色のトップ3に入ります。本州から十勝へ移り住み、何度も年を重ねて、どの季節にも好きな景色が数えきれないほどありますが、その中でもこの景色を、もっと多くの人に体感してほしいと思うのです。太陽が昇れば、霧氷は桜の花びらのようにひらひらと地上へ舞い降りては消えてしまいます。氷の世界はとてもはかなく、夢の中を漂うように美しくありながら、びりびりとしびれてくる頬や指先の感覚が現実の世界に立っていることを教えてくれます。
街を覆うほどの霧氷が見られる日は、年に何度かしか会えません。気温が低ければ必ず現れるわけではないからです。でも、真冬の十勝を走っていけば、どこかで似た景色に会える可能性があります。小さな川の近くで、見晴らしのよい峠の上で・・・外へ出れば痛いほど寒いけれど、十勝を訪れた人が、ほんの少しでも立ち止まって眺めてくれたらいいな、いつも密かに願っています。

