物好き

 氷点下20度を下回る予報が出た朝に、家の中でじっとしていられない人が、世の中にはわりといるようです。週末、十勝大橋を望むことのできる橋には、カメラの三脚が立ち並びました。横を通る車からは、思いがけない絶景の広がりに気付いて驚く顔や、時には「こんな日にどんな物好きだ」とでも言いたげな顔も向けられます。でも、圧倒的な景色と寒さとで、そんな視線には構っていられないほど、手足も思考もしばれっぱなしです。
 ガラス細工と化した木々がどこまでも続き、立ち上る気嵐に、降り注ぐダイヤモンドダスト、そしてその奥に大橋と帯広の街並みが淡く浮かびます。北海道の中でも寒いと言われる十勝ですから、河畔林が白くなることなど、そう珍しいことではないのですが、街の隅々まで凍る朝は、そう何度もあるわけではありません。どこもかしこも、きらきらと眩く光る街を見渡すと、夢うつつを彷徨っているような心地がしてきます。
 寒さへの反発力よりも絶景への引力が勝っているのでしょうか。はたまた極寒ハイになっていたのでしょうか。いずれにしても、物好きには楽しい朝でした。
2019年02月12日
        
        
        
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