ちょっと違ったけれど・・・
夏の青空の下を、カワラヒワたちは「チリリリ〜」と喜びを語り合うようにして飛んでいきます。その声は、空の色にも劣らず軽やかに澄んでいて、いつも幸せな気持ちを届けてくれます。決して珍しい鳥ではないのですが、彼らの声が一番好きかもしれないと、聞くたびに思います。
夏の太陽をいっぱいに受けたヒマワリは、みっしりと中のつまった種を実らせました。実は、カワラヒワの大好物がヒマワリの実だと本で読み、彼らを呼び寄せられるかもしれないと思い立って、植えるようになったのです。早秋、早朝の冷え込みに比例して、布団の中でうとうとするのが心地よくなり始めた頃、ツィーツィーツィーと聞きなれた声がして、はっと飛び起きました。シジュウカラです。大きなヒマワリの顔に取りついて種を取り出し、となりの支柱へ移ってくちばしで器用に殻を割って食べています。初めは一羽だけでしたが、そのうち何羽も集まり、時にはコガラも混じるようになりました。スズメも、同じように種を取り出そうと試みますが、シジュウカラのようには上手くできず、ほとんどはおこぼれにあずかっているようです。
シジュウカラたちの器用さに感心しながらしばらく観察を続けていましたが、はたと気づきました。そう言えば、最初の目的だったカワラヒワは全く姿を見せていません。図鑑を読み返して納得しました。北国では冬季に南下することがあるとの記載。確かに、冬の間には見かけた記憶がありません。な〜んだ!・・・でも少し残念。ヒマワリの種を収穫して春まで保存しておくのは容易いことですが、見たいのは、餌台に置かれた種を食べる姿とはちょっと違うのです。
気が付けば、もうカワラヒワの声が聞こえない季節になっていました。小さな鳥たちの渡りは早いのでしょう。今年のヒマワリたちも、シジュウカラのよき餌場となるでしょうか。
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