押し相撲
久しぶりに帰省する機会があり、本州の里山の空気を沢山吸ってきました。色づいた柿が枝を垂れ下げている景色を、何年ぶりに目にしたでしょうか。そこに住んでいる間は、取り立てて欲したことはない気がしているのですが、北海道には柿の木がないと知ってからは、恋しくて仕方がなくなるほどでした。
立派に育った枝から大量にもぎ取って持ち帰ると、何個かは早々にお腹の中に納まりました。そうそう、この色にこの甘さ!特別糖度が高い訳ではないので、万人においしいと認められる味ではないかもしれませんし、大きさもどちらかと言えば小ぶりですが、しみじみと故郷を味わいます。ここに暮らしていた当時、この味を受け取っていた細胞などは、もうほとんどが入れ替わって新しいものになっているはずですが、一度触れると直ぐさま記憶が頭にも体にも戻ってくるのですから、これまた不思議なものです。
さて、今となっては、人生の半分以上を北の空の下で暮らしている訳ですが、十勝の味が、故郷の記憶を塗り替える日は来るのでしょうか?十勝の食材たちは、果物はやや弱いものの、野菜や穀物たちの実力は言わずもがなです。お土産に持って行った栗カボチャなどは、大好評でしたし、この季節は特に、直売所へ行くと、どれもこれも美味しそうで、予算オーバーは必至です。押し相撲は一見、十勝優勢に見えますが、かと言って故郷の記憶が簡単に押し切られるとも思えないのですから、本当に面白い勝負だと思います。
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