錦秋
街の遠景が華やいでくると、秋ももうクライマックスに近づいているのだと感じます。花火大会のスターマインを見ているようです。山ではじわりじわりと降りてくる色づきも、平地までやってくると、ぱっと一斉に広がります。こんな時期は、どこへ向かっても楽しいもので、行く先々であっちの赤も、こっちの黄色も!と目移りして、なかなか前に進みません。しっとりと雨なんかが降りだそうものなら、これまた艶々に色を濃くした葉っぱに気を取られて、歩みは遅くなる一方です。
スターマインのクライマックスの後、幻影のごとく煙が夜に漂うように、葉がすっかり落ちてしまうと、灰色の枝木が世界に残ることになります。色が少なくなり、冷えた空気も手伝って、一見すると寂しさが漂うことになるでしょう。必然と言えば必然なのですが、木の葉の隠れ場所が少なくなると、生き物の気配はずっと感じやすくなります。華を追う季節から、瞬間を追う季節へと軸足が動きます。もしかしたら、これからの方がむしろ運動量は増えるのかもしれません。スロースタートのスポーツの秋、でしょうか。今週末は3年ぶりの十勝フードバレーマラソン大会でもあります。錦秋の空気を、めいっぱい楽しめるでしょうか。
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