白の力
耳を覆う毛は倍ほどの長さに、体全体を覆う毛は倍ほどの密度になっていそうです。冬のエゾリスはふわふわ感、倍増中です。お腹の白い毛は、背や手足のグレーの毛よりもやや長いのか、エプロンをしているようにも見えます。それがまたかわいらしさを演出しているのですが、そう言えばお腹が白い動物って他にもたくさんいるなと、気になりました。
これはカウンターシェーディング(逆影)というのだそうです。通常、太陽の光が上から当たると、物体の上側は明るく下側は暗く見えます。この光と影の濃淡を逆さにして、物体の上側は暗く、下側が明るい色彩をもつと、物体が帯びた影が打ち消されて、相手からは輪郭や立体感をつかみにくくなるのだそうです。代表的な迷彩のひとつで、哺乳類以外にも魚類や昆虫、鳥類などさまざまな生き物で、この色彩を確認することができることから、生存競争にとって重要な要素であることが想像できます。
私たちにとっては、白は目立つ色として認識されることもあります。収穫後の茶色い畑でも、タンチョウやハクチョウは見つけるのは簡単です。でも、肩や尾羽が白いオオワシなどは、青空を飛んでいると実際よりも体が少し小さく見えることがあります。もしかしたら、捕食者も、被食者の目を錯覚させて(距離を誤認させて)油断をさせるなどということがあるのかもしれません。生き物の世界の白は、奥が深そうです。
帯広は、昨晩の積雪でどこもかしこも白一色です。エゾリスの白い毛が増し気味に見えるのは、このドカ雪にまぎれるためということもあるのでしょうか。真っ白な雪の上で、足元の距離感もおぼつかなく歩きながら、白の洗礼を受ける季節をかみしめています。

