ひと雨
五月の雨は緑をどんどんと濃くしています。街の新緑を初夏の色に変え、まだ残雪の多い日高や大雪の山の上へも、あと1ヶ月ほどかけてゆっくりと緑を広げていってくれることでしょう。
雨の恵みは、畑の作物たちだけではなく、野の草花たちにも平等にもたらされます。ですが、それらを受け取る側の力は、それぞれ違うように感じます。等しく雨を受け、光を受けていても、伸びる速さや力強さは違うなと思うのです。夜に降った雨のおかげで、あちらもこちらもタンポポやスギナがぐんと伸びていました。しゃっきりつやつや、肉厚に伸びたタンポポを片手いっぱいに持って、根本に鎌を入れると、ざくりと音がしてなんだか白菜でも収穫したかのような手応えと重さです。隣で箱入り娘のように植えられている同じキク科のレタスと見比べても、タンポポの葉っぱのほうが実はおいしくて栄養があるのでは?と思えてしまいます。
生命力にあふれた草たちとの格闘を終えた後、出かけた先では、濁った水をごうごうと流している川をあちこちで見ました。気温は夏日に迫ろうとしていますが、雪解け水に夜の雨も加わって、川の水はまだまだ凍えるように冷たいはずです。それを見ながらさかのぼるように帯広の奥の岩内仙峡までやってきました。濁りはなくなりましたが、水は更に冷たそうです。そんな中でも、川を囲む緑は少しずつ広がっていました。来週になったらもっと美しい新緑の景色が見られることでしょう。ひと雨後が楽しみでもあり、一方で草刈りにも追われる、忙しい夏へと向かっていきます。