コウモリに起こされる(出張編)
鳥とは違う、聞きなれない生き物の声で目が覚めました。時計を見ると4時手前、もちろん外はまだ真っ暗です。この島の鳥たちは、自己主張がそれほど強くないということを、滞在中の3日間で感じていたのですが、聞こえてきたのは、少なくとも二個体が鋭い声で会話をしているような、そんな響きでした。
ここは小笠原の父島です。昨年9月に今週のヒューエンスが1000回を迎え、その記念としてここへ来ることができました。国内でも最も来ることが難しい場所のひとつであり、そして何より、東洋のガラパゴスと呼ばれる島に、一生に一度は行きたいとずっと願っていたのが叶ったのです。
さて、朝4時に起こされた私は、寝ぼけた頭でも、これはきっとオガサワラオオコウモリ(小笠原の固有種にして天然記念物)だろうと確信しました。と言うよりも、小笠原の生き物の中に、他に思い当たるふしがなかったのです。携帯電話のライトをつけて、静かに外へ出て、声のする木の茂みを照らしながら目を凝らします。木が不自然に揺れていますし、声は引き続き聞こえているので、まだ近くにいるはずなのですが、暗闇にまぎれた姿は容易に見つけさせてはくれません。辛抱強く辺りを照らし続けていたら、それを嫌がったのでしょう。大きな黒い影が、まさにコウモリの形をした影が、続けて2つ、バサバサッと重い音を立てて、山の方へ飛んで行きました。
世界自然遺産のこの島は、これまで当たり前のように感じていた自然への認識を、大きく広げてくれることになりました。今週だけではとても収めきれません。この後、何回かに分けて、是非お伝えできればと思います。
(オガサワラオオコウモリの写真は残念ながら撮ることができませんでした。写真のタコノキは彼らの大好物です。オレンジ色に熟すと、とても美味しそうな香りがしますが、人間には歯が立たないほど堅いのだそうです。)
